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神経内科通信

2016年12月号 「流行性感染症の予防法」

 今年もまたウイルス感染症が流行するイヤな季節がやってまいりました。この時期の大敵は「インフルエンザ」と「感染性嘔吐下痢症」の2つといえるでしょう。インフルエンザに
ついてはすでに予防接種を打たれた方も多いと思いますが、実はこの予防接種はベストな予防方法ではありません。今回は流行性の感染症にかからないようにするコツについて復習しておきたいと思います。
 
 インフルエンザに限らず、人から人にうつるウイルス感染症にかからないようにする一番のコツ、それはウイルスの感染経路を断つことです。自分がウイルスの「通り道」にいなければ、絶対に感染することがないからです。感染経路を断つにはいくつかの方法があります。
 
①なるべく人ごみの中に入らないこと。
 特にインフルエンザウイルスは飛沫(ひまつ)感染といって、咳やくしゃみで飛び散るだ液の小さな粒子(これを飛沫といいます。)を吸い込んで感染します。おわかりのように、飛沫感染は人が多ければ多いほど可能性が高まります。用事がある際には仕方ないことですが、不必要な外出をなるべく避けることは、インフルエンザ予防の有効な知恵の一つといえるでしょう。
 
②マスクを着用する。
 残念ながら、日常的に使用する一般的なマスクはウイルスを完全にシャットアウトすることができません。しかし、感染予防には役立ちます。意外と気がつかないことなのですが、私たちは無意識に顔の一部、例えば目、鼻、口などをひんぱんに触っています。その際、指についたウイルスを鼻や口の粘膜に移してしまうことがあるのです。これを接触感染といいます。この接触感染を予防する目的で、マスクの着用は有効だと考えることができます。
 
③しっかり手洗いをすること。
 私たちは毎日の生活の中でいろいろなものを触ります。そしてその際にホコリや雑菌などを手指につけるわけです。当然、その中には病気を引き起こすものもあるはずです。手洗いは石鹸を用いて、念入りに行いましょう。
 
④家族でタオルを共用しないこと。
 これはとても大事です。家族全員が手洗い後に同じタオルを使うことになれば、ひとりが持っているウイルスや雑菌を家族間にばらまいてしまうことがあります。面倒かもしれませんが、家族のタオルは一人一枚を原則にしてください。この対策方法は家族間の感染予防に非常に有効だと思います。
 
 新年はもうすぐです。よいお年をお迎えください。
( 文・神経内科 則行 英樹)
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