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神経内科通信

2018年06月号 「コーヒーの効用」

私は家族からコーヒー中毒と言われるほどコーヒーが大好きで、毎朝欠かさずにホットコーヒーを愛飲しています。コーヒー専門店で購入した粉をペーパーフィルターに入れ、熱いお湯を注ぎますが、その香りだけでも幸せな気分になれます。砂糖やミルクを入れない(ブラック)コーヒーがお気に入りです。
というわけで今回の通信は、過去の医学論文からコーヒーの効用について書かれたものをご紹介いたします。コーヒー好きな方はぜひご参考に。
実はこれまでも多くの研究で、コーヒーと病気の予防との関連が指摘されています。それらの発表の中では、コーヒーが動脈硬化予防、糖尿病や一部のがんの予防などに役立つ可能性が述べられていました。どの論文にも共通するのは、一定量範囲内のコーヒーを毎日摂取することにより、体内にあるたくさんの物質がよい方向に活性化されるのではないか、と考えられていることです。
今年3月、アメリカにあるノースウェスタン大学のコルネリス助教授の研究の成果が発表されました。小規模な研究ではありますが、この研究はもともとコーヒーを飲む特定集団の方々に対してコーヒーを一か月中止してもらったのちに、次の一か月は毎日1日4杯以上のコーヒーを飲んでもらい、血液の中の733種類の物質がどのように変化するものかを調べたものです。その結果、コーヒーによって115種類の物質が活性化されたことがわかりました。その物質の中には、私たちの食欲やエネルギーの産出と消費、血圧、睡眠など、日常の基本的な身体機能の調節に重要な役割を担っているものもあったそうです。この結果から、これまでの研究でもよく言われていた、コーヒーによって肥満(生活習慣病)予防効果を裏付ける メカニズムの証明となるのではないか、といわれています。コーヒー党の私にはうれしいデータでした。
 しかし、この度の研究は小人数を対象とした小規模な研究であること、そしてコーヒーの摂取量が1日4杯から8杯という人もいて、これは一般的なコーヒーの摂取量とはいえないことをアメリカの栄養士会は指摘しています。なるほど、結果をそのままうのみにはできませんよ、ということでしょうか。
たしかにコーヒーに含まれるカフェインは摂りすぎますと、中毒、睡眠や精神面への悪影響が及ぶことがよく知られています。日本人であればだいたい1日3杯までが目安でしょうか。何事も過ぎたるは毒、ですね。私は健康のため、というよりも一日を快適な気分で始めるためにコーヒーを愛飲しています
 先日、アメリカでコーヒーの袋に発がんの可能性を記載している州があることを知りました。なんとも複雑な気分です。   ( 文・神経内科 則行 英樹 )

 

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