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神経内科通信

2007年09月号 「高血圧の方が増えています」

  少し前の話ですが、定期的に当外来を受診されている患者様の中に、どのくらい高血圧の方がいらっしゃるのだろうかと興味を持ちまして、ある期間調べてみたことがあります。そうしますと驚くことに、5人中4人の方が血圧を下げるお薬を飲まれていたことがわかりました。
 
日本高血圧学会は平成十六年に高血圧の患者様に対する治療方針(「高血圧治療ガイドライン」と呼ばれています。)を発表しましたが、その中で高血圧は脳卒中(脳の血管がつまったり、破れたりする病気)の発病と特に強い関連があることが強調されて書かれていました。このことから、日頃から血圧をきちんと管理することが、脳卒中の予防につながるのだということがわかります。
 
高血圧は生まれつきの要因(体質)と生活環境が影響するといわれています。体質は仕方がないとして、血圧をきちんと管理するためにはどのような生活を送るべきなのでしょうか? 先ほどのガイドラインに沿って書いてみましょう。
  1. 塩分をとりすぎない(できれば一日6グラム以下)
  2. 野菜やくだものをしっかり食べる(ただし、糖尿病や腎臓病の場合は主治医と相談)
  3. 太りすぎない
  4. 毎日の適度な運動を心がける(心臓の機能がしっかりしていることが条件)
  5. お酒の量をひかえる
  6. タバコはほどほどに 以上の6項目です。
 
そうそう、昔の方はトイレと風呂場で脳卒中が多いことをよく知っていました。便秘の治療や身体を冷やさない工夫も血圧の管理につながりそうですね。さて、ご自分に当てはめていかがだったでしょうか?
 
先ほどのガイドラインでは高血圧を細かく分類していますが(ここでは省略いたします。)、当外来では早朝の正常血圧を130と85未満に、すでに高血圧と診断されている方の早朝の目標血圧を140と90未満にしたいと考えています。
 
日本人の死因の第一位はガンですが、脳卒中も年々少しずつではありますが増えてきているようです。薬を飲みさえすれば大丈夫、と安心はできません。脳卒中の原因のひとつである血管の老化(動脈硬化)を早く進ませないように、日頃からしっかり対策を立てておかねばなりません。高血圧のみならず、肥満、糖尿病、高コレステロール血症は血管の老化を異常に早く進行させます。「自分の血管を自分の力でしっかり守る」ことを目標にがんばりましょう。
 
最近、ご家庭で血圧を測定される方が多くなりました。私は特に朝の血圧を重視していますが、これには条件があるのです。血圧測定は朝起きてから一時間以内に、トイレを済ませたあとで食事の前(おくすりを飲む前)が原則。座ってゆったりした状態で測定してください。
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
 
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