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神経内科通信

2016年03月号 「食事と病気の予防」

  当たり前のことですが、病気を予防するためには日頃の食事内容に気を付けなければいけません。そういえば、昔から「医食同源」と言われていますね。それにしても、昨今の健康に関する情報量は異常に多くて、巷にはさまざまな健康情報が飛び交っていて、果たしてそれらは正しいものばかりかどうか、少々疑ってしまいます。私は先日、健康保持・増進活動に従事しておられる福岡女子大学 食・健康学科 太田教授の講演を聞いてまいりました。その講演の中で明らかにされた「食事と病気の予防」についての研究成果を報告いたします。
 
(1)緑茶、コーヒーを多く飲むと心臓血管病の予防効果が期待できる。
  具体的なデータが示されたのですが、緑茶を1日3~4杯程度飲む人は、そうでない人に比べ20%ほど心臓血管病の危険性が減り、コーヒーを1日1~2杯程度飲む人はそうでない人に比べると同様に20%程度心臓血管病発病の危険性の軽減がみられたということです。ちなみに緑茶もコーヒーも脳卒中の発病も同程度軽減したとのことでした。この手の情報で気をつけなければいけないのは「過ぎたれば何とやら」で、極端に走る考え方は危険です。健康にいいからといって、緑茶ばかり、コーヒーばかりでは逆に身体に良くないですよね。
 
(2)地中海式ダイエットは血管を守る。
  地中海式ダイエットってご存知ですか? これは南イタリアやギリシアでの伝統的な食事を健康法に活かした生活習慣改善方法なのです。その原則です。
 
1 季節の野菜と果物、穀物などの植物性食品を中心食べること。
2 オリーブオイルを日常的に使用すること。
3 チーズ、ヨーグルトといった低脂肪の乳製品は毎日適量を食べること。
4 魚介類を習慣的に食べること。(週に2~3回)
5 肉類は少量にとどめること。(月2~3回)
6 毎日最低でもコップ6杯程度の水は飲むこと。
7 食事中に適量のワイン(グラス1~2杯)を飲むこと。
8 日々の身体活動(運動)を欠かさないこと。
 
  これがすべての方に実施可能なダイエットかどうかは別としても、約4万人から得られたデータでは、糖尿病発病の抑制、血管病の予防効果は明らかだったそうです。講演の中で、オリーブオイルを上手に用いることが当ダイエットのポイントの一つではないか、との見解が示されました。
 
  食事療法は本来、身体の弱点を補うべきものです。健康ブームに惑わされず、冷静に考え、実行することが望ましいでしょう。
( 文・神経内科 則行 英樹 )
 
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