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神経内科通信

2008年03月号 「めまいについてお話しましょう」

  めまいの原因を調べるとき、もっとも大切なことはその性質なんです。めまいの性質は大きくわけて3つありまして、順に挙げますと、頭がフッと軽くなってフラフラして気を失いそうになる『立ちくらみ』型のめまい。天井や自分のからだがクルクル回っているように感じる『回転』型のめまい。それからお酒を飲んだ時みたいに身体が揺れるように感じる『動揺』型のめまいです。
 
  では『立ちくらみ』型のめまいの場合は、どういった病気が考えられるのでしょうか? 実は『立ちくらみ』を起こす病気はさまざまあるのですが、その症状の原因はズバリ一時的な脳の血液循環の低下です。俗に言う「脳貧血」ですね。代表格は「起立性低血圧」といいまして、これは例えば急に頭を持ち上げた時に「脳貧血」を起こさせまいとする神経の反応が鈍い時に起こります。成長期の子供さんや自律神経のバランスの悪い方に起こりやすいですね。次に『貧血』。若い女性に多いのが「鉄欠乏性貧血」、中高年であれば胃かいようなどからの出血、高齢の方に多いのが悪性腫瘍(ガン)です。ですから『立ちくらみ』型のめまいの方は、必ず採血をして血液をチェックしなければいけません。また『不整脈』の有無も調べる必要があります。あとは頸動脈や脳血管の異状でも『立ちくらみ』は起こります。まだまだありますヨ。例えば薬の副作用の可能性も。血圧を下げるお薬を飲んでおられる方に時にみられます。
 
  次に『回転』型のめまいです。耳の働きは?と聞かれれば「音を聞くこと。」と小さなお子さんでも答えられます。もちろんこれは正解なんですが、実はもう一つ大切な機能を耳は持っているのです。その機能とは『頭の位置がどうなっているのかを感知するセンサー』の役割なのです。例えば頭の位置が斜めだとか上を向いているとか。ですからあまり無理矢理にくるくる頭を回転させてしまうとそのセンサーに異状を来たして、修正が一時的に効かなくなるために健康な方でも『回転』するめまいが起こると考えられています。ですから『回転』型のめまい発作にはよく「耳鳴り」を伴うことがありますが、これはその原因が耳にあることの証拠になります。代表的な病気には「メニエール氏病」や「良性発作性回転性めまい」などがあります。
 
  最後に『動揺』型のめまいですね。この場合は脳しゅようや脳卒中、薬の副作用などが原因として考えられるため、しっかりと検査をする必要があります。 長く「めまい」が続く際には悩まれずに、外来でお気軽にご相談下さい。当外来ではくわしく問診をとり、必要に応じて採血や頭部CTスキャンなどの検査をおこなって原因を調べていきます。
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
 
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