本文へ移動

神経内科通信

2008年07月号 「手洗いができていますか?」

  「手洗いとうがいを毎日ちゃんとしてくださいね」と私は外来で口ぐせのように言っています。手洗いとうがいの習慣は感冒症候群(かぜ)予防のためのみならず、手軽にできる健康維持法にもなると思います。実は手洗いにはキチンとしたやり方があるのですが、案外ご存じない方が多いのではないでしょうか。今回は正しい手洗いの仕方をテーマにお話ししようと思います。
 
  私が医学生の頃、手のひらにはどんな種類の細菌がいるのかを調べてみたことがありますが、その結果には大変に驚かされました。一見すると、汚れもなくきれいに見える手のひらですが、実にさまざまな種類の細菌が住みついていることがわかったのです。(時にはウイルスもくっついているようです。)その細菌のすべてが病気を引き起こすタイプというわけではないのですが、学生なりに手洗いの習慣の大切さが身にしみたものでした。
 
  ではこのような細菌やウイルスを洗い流すにはどのような手洗いが大切なのか調べてみました。いろいろな本を調べてみたのですが、若干の違いはよしとしまして、その共通するところを書いてみることにいたしましょう。(そうそう、手洗いのタイミングは基本的に、外から帰宅した時、食事の前、トイレの後の三つになりますので、覚えておいて下さい。)
 
  1. まず手をよく水でぬらして石けんを泡立てる。
  2. 5秒間両手の手のひらを力強くゴシゴシとこする。
  3. 片方の手の甲をもう片方の手のひらで5秒間力強くゴシゴシとこする。(反対側も同様に5秒間)
  4. そのままの状態で両手の指を組み合わせて、指の付け根をこする。(5秒間)
  5. 片方の手のひらにもう片方の指先をつけて、5秒間輪をえがくようにこする。(反対側も同じように5秒間)
  6. 実は親指のつけ根、手の甲側が一番汚れが残りやすい所なのだそうです。親指を片方の手のひらに包み込んでゴシゴシこする。(これも5秒間。反対側も同じように)
  7. まだまだ終わりません。最後に手首をつかんで、5秒間ゴシゴシまわす。(反対側も同じように5秒間)
  8. 最後に十分に水ですすいで、せっけんの泡を流し落とします。
  9. 清潔な(←これが大切!)タオル、あるいはハンカチで手をふきます。もし不潔なタオルを使えば、せっかく洗った手を再び汚してしまいます。
 
最後にもう一度、要点をまとめましょう。
 
  1. 私たちの手はきれいに見えても、細菌やウイルスがついています。
  2. 正しい手洗いによって、それらを洗い流すことができます。
  3. 手洗いは感染症予防の第一歩、基本中の基本。
 
食中毒の季節です。めんどうに思わずに実践を!
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
 
TOPへ戻る