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神経内科通信

2019年02月号 「C型インフルエンザ」

先日、娘から「インフルエンザって何種類あるの?」と質問され、不覚にも私は「A型とB型の2種類だな。」と何気なく答えてしまいました。これは間違いです。インフルエンザの種類、正しくはA型、B型、C型の3種類です。

通常、この時期に外来で診断をつけて治療を行うのはA型とB型のインフルエンザの2つだけです。なぜ私が日常診療でC型インフルエンザを意識しないのかといいますと、これには2つの理由があります。

C型インフルエンザはA型、B型と同じくインフルエンザウイルスが原因となり発症しますが、一つにはこれは基本的に子どもに発病する病気と考えられていることによります。ある資料によりますと、日本人はだいたい6歳くらいまでにC型インフルエンザにほぼ全員がかかっており、子どもの頃からこのウイルスに対して免疫(抵抗力)を持つために、再度感染しても軽いかぜ症状で済んでしまうことが多く、そのために診療においてあまり大きな問題にはならないのです。もう一つには、外来では簡単にC型インフルエンザを診断することができないことが挙げられます。ご存知とは思いますが、A型、B型インフルエンザについては外来での検査で簡単に診断をつけることができますが、C型について はそのウイルスの検査ができる施設に患者さんの鼻やのどから採った液を送って判定をお願いしなければなりません。非常に手間がかかります。言い訳がましくなりいささかお恥ずかしいのですが結局、成人の方を中心に診察する診療科の私には縁遠い病気といえるのかもしれません。

  それではC型インフルエンザについて少々くわしくお話いたしましょう。流行の時期は1月から6月とされています。A型とB型の流行時期と重なっています。平成十六年に全国規模の流行が確認されており、だいたい一年おきに流行する傾向があるとされています。代表的な症状は3つありまして、約9割のケースで発熱(だいたい38台の熱が2日ほど続きます。A型インフルエンザ感染の時にみられる激しい高熱は少ないとされます。)、約8割のケースでせき、比較的激しいせきとなるようです。次に約6割のケースで鼻水。この鼻水も症状としてはA型とB型と比べてかなり重たいようです。また、頻度は少ないようですが、吐き気や下痢、おなかの痛みも起こることがあります。私が持ってい る資料には、A型、B型インフルエンザの治療に用いるタミフル、リレンザといった抗インフルエンザ治療薬の効き目は期待できないとあります。

 結局のところ、外来ではA型、B型インフルエンザ以外のウイルス感染症と診断され、対症療法が施されることになります。( 文・神経内科 則行 英樹)

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