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神経内科通信

2007年07月号 「骨を鍛えましょう」

  ある調査によりますと、我が国において寝たきりになる原因の第一位は脳卒中(脳の血管がつまったり、破れたりする病気)。そして第二位は高齢に伴う体の衰弱。第三位は骨折ということになっていました。高齢の方々にみられる体の衰弱については仕方がないことですからよいとして、脳卒中と骨折の両方を予防すれば寝たきりの方の総数が減ることになります。
 
  健康ブームが世間に流行しだした頃からでしょうか、「骨そしょう症」に対する関心は今日に至るまで非常に高まってきているように感じます。高齢化社会という言葉は若干聞き飽きた感もありますが、骨折をきっかけに寝たきりになるお年寄りの方が大勢いらっしゃる現状を考えますと、日頃から骨を丈夫にする習慣を身につけておくことは大切だといえるでしょう。もちろん薬を飲むことも骨を守る一つの方法ですが、それ以外にも骨を鍛えるポイントがありますので、ここに3つだけお示ししましょう。
 
(その一)カルシウムを多く含む食べ物をとること
  カルシウムを多く含む食べ物をお教えします。代表的なものに、干しエビ、煮干し、ひじき、ごま、チーズ、切り干し大根、しらす干し、ヨーグルト、牛乳などがあります。当然のことながら、バランスのよい食事を心がけましょう。
 
(その二)日光浴をすること
  適度に日光を浴びますと、体の中でビタミンDが合成されます。この物質は腸からのカルシウム吸収を高めます。そうそう。日光浴が骨にいいから、といって日に当たりすぎて日焼けをしないようにしてくださいね。節度が大切。
 
(その三)骨に適度なストレスをかけること
  寝たきり状態は骨をもろくすることが知られています。したがって、日頃から骨にある程度の重みをかけておくことが、骨の強度を保つ上で大切であることがわかりますね。そういえば、宇宙飛行士は重力のない(重みのかからない)宇宙空間で骨が弱くなります。一般的には「歩く」ことが勧められていますが、せめて「座る」「立つ」習慣を身につけておくことが肝要でしょう。そうすることによって、背骨や足の骨には適当な重みがかかります。
 
  私は外来で、転倒には十分に気をつけるようにときびしく指導させていただいています。特に体の筋肉の力や体力が落ちている方、脳卒中などで軽いマヒを持たれている方、性格的にそそっかしい方は要注意!しりもちをつけば腰骨(胸椎や腰椎)が、左右に倒れると足の付け根(大腿骨)が折れやすいといわれています。あなたは大丈夫ですか?
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
 
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