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神経内科通信

2010年07月号 「患者さんからの質問」

  日頃、私は患者さん方から、実にさまざまな質問を受けます。その中には、思わず笑いが出てしまうような素朴なものから、あまりの研究熱心ぶりに、思わずうなってしまうような専門的なものまであります。今回はそれらの質問の中から多いものについて、私なりの回答をさせていただこうと思います。
 
【質問1】黒酢はからだに良いのか?
  黒酢は10年ほど前より、健康食品としてよく耳にするようになりました。必須アミノ酸やクエン酸などを豊富に含み、「疲労回復によい」、「血圧を下げる」、「血流を改善する」、「コレステロール代謝を改善する」、果ては「ダイエットによい」と言われてきましたが、その効果についてはちょっと怪しいようです。そもそも、黒酢が身体によいといわれても、どの程度の量を飲めばよいのか、という基準がどうもハッキリとせず、飲みすぎによる健康被害も警告されています。私も過去に鹿児島産の黒酢を試してみたことがあります。高いお金をかけて現地からとり寄せました。疲労回復とダイエット(笑)を期待して毎日飲みましたが、正直なところ効果はまったくありませんでした。私の母親も血圧が高くて一時期黒酢を飲んでいましたが、病院から出される薬代のほうが安いという何とも単純な理由で、途中から飲むのをやめてしまいました。しかし、酢は適量であれば決して身体に悪いはずもなく、たとえば高血圧の方で塩分を控えるために、酢を使った調理をすることは大いにお勧めできると思います。
 
【質問2】「飲むヒアルロン酸」は膝の痛みに効くのか?
  ここで商品名は出しませんが、最近「飲むヒアルロン酸」はテレビの通販などで大人気のようです。ヒアルロン酸は、関節軟骨や皮膚になどに弾力を持たせる非常に大切な物質ですが、残念ながら老化と共に体内から次第に減っていきます。これを補うためにヒアルロン酸を飲もうというわけですが、口から飲んだヒアルロン酸が膝の関節内に移行することについては、残念ながら医学的にはまったく説明がつきません。それじゃあ、ぜんぜん意味のないものかと思ってしまいますが、知り合いの整形外科医によりますと、10人中3人くらいはヒアルロン酸を飲みはじめてから膝の調子がよくなり、痛みがいくぶん軽くなり歩きがスムーズになっていて驚いたとのことでした。となりますと、まず1ヵ月くらいこれを服用してみて状況が変わらなければ、スパッとあきらめる使い方が賢いということになるのでしょうか?
 
  紙面が尽きました。今回はこれでおしまいです。
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
 
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