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神経内科通信

2012年12月号 「今年を振り返って」

  早いもので、平成24年も間もなく暮れようとしています。みなさまにとって、今年はどのような一年でしたでしょうか。今回は当外来の一年間を振り返ってみたいと思います。
 
(1)もの忘れ外来が充実してまいりました。
  当院のもの忘れ外来が次第に地域の方々に認識されつつあるようで、ご家族と共に相談に来られる方が増えてきています。認知症、特にアルツハイマー型認知症は早期に治療を開始することで、症状の進行が抑えることが期待されます。平成22年の統計では、寝たきりとなる原因の第二位が認知症でした。引き続き、認知症についての正しい知識の啓発と治療に努めてまいります。
 
(2)高血圧の治療にいっそう力を入れてまいりました。
  私は脳卒中の予防、ひいては寝たきりの原因となる病気・ケガの予防の啓発活動をライフワークにしております。脳卒中については、寝たきりとなる原因の第一位です。ですから、脳卒中の主たる危険因子である高血圧については、しっかり治療・コントロールを行うべきであるとの考えを私は持っています。
 
  高血圧は自覚症状に乏しく早期発見が難しいため、当外来といたしましては、健康診断や家庭での血圧測定を積極的にお勧めしています。
 
(3)頭痛診療に力を入れてまいりました。
  慢性頭痛で悩まれている方は意外に多く、年齢層も中学生から高齢の方まで幅広いのが特徴です。これまでの経験・研究により、頸椎(けいつい:首の骨)の状態と慢性頭痛との関連が次第に明らかになりつつありまして、当外来では痛み止め薬の処方以前に生活指導を強化し、よりよい頸椎の状態を保つためのアドバイスを行っています。一方、難治性の片頭痛に悩まれている方への治療が今もなお課題として残っています。今後の研究課題の一つです。
 
(4)定期検査により病気の早期発見ができています。
  どこの病院でも定期検査(検尿、採血、レントゲン、心電図など)を実施しています。検査の意義としては、現在服用している薬の効果や副作用をチェックすることのみならず、予期しない病気の早期発見に役立てることが挙げられます。当外来でも、定期検査で貧血が見つかり、精密検査で胃かいようの診断に至ったり、心電図でたまたま不整脈が見つかり、早急に治療に踏み切ったケースがあります。最低でも一年に一度の検査は受けるようにしてください。
 
  来年はさらに外来を充実させるべく努力してまいります。当外来を健康増進のためにお役立てください。
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
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