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神経内科通信

2013年07月号 「脳卒中を予防するために(その6)」

先月号に引き続きまして、日本脳卒中協会が発表した「脳卒中予防十か条」の解説を進めてまいります。今回がシリーズ最終回です。
 
その8 体力に 合った運動 続けよう
  以前からよく「運動は身体に良い」と言われていますが、運動の効用とはどのようなものなのでしょう。一般的には、体力を向上させる、全身の血液のめぐりを良くする、全身の筋肉を鍛える、脂肪を減らす、などが代表的な理由にされていますが、これら以外にも、血糖値を下げる(インスリンの効きをよくする)、肩こりや腰痛を予防・改善する、ストレスを発散する、といった効能があるのではないかと思います。このように書きますと、運動することは脳卒中の予防以外にも、健康の維持・増進の手段としてとても大切なものだと考えてよさそうに思われます。ですが、身体の個性や体調を無視した無理な運動はかえって逆効果になることを忘れてはいけません。自分に合った運動については、担当医とよく相談しておくことが大切です。膝が悪い方、心臓や肺に持病を持たれている方の場合には特に注意が必要です。
 
その9 万病の 引き金になる 太りすぎ
  これは説明を必要としませんね。現代社会においては成人のみならず、子供たちの肥満率も高まってきているとされ、大きな社会問題になりつつあります。食事の量と質の問題、運動不足の方が多い現状については、個々人が認識を深めることが大切です。平素から食事と運動のバランスを考えたいものです。
 
その10 脳卒中 おきたらすぐに 病院へ
  脳卒中の治療は時間との勝負です。あれ?これはおかしいぞ、と思ったら、ただちに病院を受診してください。脳卒中の警告書状を以下に記します。
 
  1. 突然、身体の片側の顔、腕、足にしびれやマヒが起こった。
  2.  突然、片方の目が見えなくなったり、物がぼやけて見える。
  3.  突然、言葉がしゃべれない、言葉の理解ができなくなった。
  4. 突然、原因がわからない激しい頭痛が起こった。
  5. 突然、1~4を伴いつつ、めまい感、ふらつき、意識障害が起こった。
 
  数年前、「視界がぼんやりする」という症状で救急外来に来られた方がいました。驚いたことに診断は「くも膜下出血」でした。頭痛のないくも膜下出血は私にとって初めての経験です。その後の治療は順調で、その方は幸いにも日常生活に復帰できました。その方から聞いた話です。「いつもの自分の身体ではないのでおかしいと思い受診しました。」
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
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