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神経内科通信

2016年07月号 「あなたの体温は?」

  おそらくどのご家庭にも体温計があり、これまで何度もご自分の体温を測ってこられたものと思います。今回は体温についてお話してみたいと思います。
 
  健康な状態でも体温は変化することをご存知ですか? 実は夜、寝ている時(明け方4時~6時頃)の体温が一番低くて、活動時間帯のお昼過ぎ(午後1時~5時頃)に一番高くなります。その差は平均して約1度ほどあるそうです。このような変化は「体温の日内変動」と呼ばれます。一日は朝・昼・夜と変化しますが、このような変化に合わせて、身体の中では自律神経やホルモンが体内環境にリズムを与えているのです。(これは体内リズムと呼ばれています。)ですから、体内環境を大事にしようと思えば、朝に目覚め、夜には寝るという当たり前の生活習慣が大事ということになるでしょう。
 
  ある研究テータによりますと、現在、約7割の日本人の平均体温は36.6℃から37.2℃の間にあるそうですが、全体的に年々体温は低下傾向にあるそうです。自律神経やホルモンの病気がある場合は別として、これは若い世代では不規則な生活に伴う体内リズムの乱れが、そして高齢者では活動性の低下(筋肉の運動量や筋肉そのものの量が減ること)がその背景にあると考えられています。もちろん、夏場のクーラーも原因の一つとして考えられそうですね。
 
  それでは体温計を正しく使ってご自分の体温を測ってみてください。腋(わき)にはさむタイプの体温計をお持ちの方が多いでしょうから、そのタイプの体温計を用いる場合の注意点です。まずは検温の原則からまいりましょう。
原則①:入浴後、食後、運動後は検温を避けます。
原則②:汗はよくふき取っておきましょう。
原則③:体温計が衣類に触れないように気をつけましょう。
 
  いずれも正しく体温を測るために重要なポイントです。では測定のコツです。
コツ①:体温計の先は腋の中心に当てることが大事。
コツ②:検温中はひじを脇腹に密着させておくこと。
 
  私は知らなかったのですが、腋は少しでも場所がずれると容易に体温の数値が変わるそうです。腋の真ん中に挟むため、体温計は下から斜め上に向けて差し込むのが大切なポイントです。
 
  高齢者の方やヤセ型の体型の方は、腋にすき間ができて正しく測れないことがあるそうです。最近では耳で体温を測るタイプがあり、すでに市販されています。腋の体温よりは少し高めに出るそうですが、日頃からご自分の体温をチェックしておくことは意味があると思います。
( 文・神経内科 則行 英樹 )
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