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神経内科通信

2019年01月号 「明けましておめでとうございます。」

明けましておめでとうございます。
 おかげさまで、当院で外来を担当させていただいてから十七回目の新年を無事に迎えることができました。当外来を受診なさる方々に信頼していただけるよう旧年同様に努めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
病気を早期発見するために
 今回は病気の早期発見のために大切なことは何かについて考えてみたいと思います。一般的には「定期的に健康診断を受ける」「ある年齢に達したら積極的にがん検診を受ける」などが挙げられるでしょう。確かにこれらはとても大事なことといえます。しかし、それ以外にも重要なポイントがあります。私が思うに「いつもの自分の調子とは違うことに気づく」ことです。ついでに加えるならば、そのことを疲れのせいだとか年齢のせいだと思い込まないこと、これは非常に大事なことのように感じます。日常生活で気にならない程度の身体の変化でも、実はその裏に重大な病気が隠されていることはよくあります。
①   「何だか見え方がおかしい」→ くも膜下出血 
 以前、私が勤めていた救急病院でのことです。朝7時ごろ、中年女性が救急外来を歩いて受診されました。目の具合がおかしい、うまく表現できないが平素と見え方が違う、焦点が合わない、とのことでした。最初は目の疲れではないかとも考えましたが、念のため脳の検査をしたところくも膜下出血が見つかり、そのまま脳神経外科で緊急手術が行われました。
②   「ふくらはぎが痛い」→ 肺塞栓(はいそくせん)症 
数年前のことですが、片方のふくらはぎが少し腫れて痛い、という方が外来にお越しになりました。最初はただの筋肉痛ではないかと考えましたが、ふくらはぎを手で握ると痛みがはしり、診察だけで深部静脈血栓症(足の静脈に血の塊がつまる病気)を疑うことができました。すぐに総合病院を受診していただき、前記の診断が確定したのですが、精密検査で肺の血管にも血の塊が詰まっていたこと(肺塞栓症)がわかり、幸いにも早期治療で事なきを得ています。
 2例を挙げましたが、他にも何気ない症状に重大な病気が隠されていた例を私は数多く経験しています。いずれにせよ、「いつもと身体の調子が違う」ことを疲れのせいだとか年齢のせいにはせず、ためらうことなく医師に相談したことが治療の成功につながっていることがわかります。
かかりつけ医をお持ちの方は、日頃から担当医に対して何でも気軽に相談できるような関係を築いておくことが大事です。       ( 文・神経内科 則行 英樹 )
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