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神経内科通信

2019年06月号 「うつ病チェックリスト」

 その昔の人気テレビ時代劇、水戸黄門の主題歌に「人生楽ありゃ苦もあるさ」という歌がありました。楽な時は幸せに感じますが、苦しい時はつらいものです。私たちはそういった日常の喜怒哀楽をうまくコントロールしながら生活を営んでいます。悲しいこと、つらいことがあれば当然ながら落ち込みます。しかし、そのような時は気分転換(趣味や旅行、美味しいものを食べるなど)や、時の経過に身を任せることで心の安定を維持しますね。うつ病というのは、気分の落ち込みから心の活気が失われてしまい、長い期間(通常2週間以上)そこから抜け出せなくなった状態をいいます。生活環境の変化、人間関係や仕事から生じるストレスがきっかけになることが多いとされ、日常生活の中でこれまでみられていた意欲や興味が失われてしまいます。また、下痢や便秘、胸のドキドキ感、ふらつき、めまい、頭痛といった自律神経失調症のような身体症状を伴うことがあり、内科を受診はするものの、いくら検査をしても異常が見つかりません。
 うつ病の方はご自身の体調不良や、何となく今までの自分とは違うなという違和感をお感じになってはいるものの、うつ気分には気がついていないことがあり、早期発見のタイミングを逃してしまうことがあるようです。そこでうつ病を疑う症状を以下に並べてみることにします。(日経ヘルス うつとうつ病ハンドブックより)このような症状が一時的にではなく、2週間以上にわたり長く続く場合には注意が必要です。一度外来でご相談になってみてください。
①   物事に対してほとんど興味がわかない、または楽しめない。
②   気分が落ち込む、ゆううつになる、または絶望的な気持ちになる。
③   寝つきが悪い、途中で目が覚める、または逆に眠りすぎる。
④   疲れた感じがする、または気力がない
⑤   あまり食欲がない、または食べすぎる。
⑥   自分はダメだ、人生の敗北者だと気に病む。または自分自身あるいは家族に申し訳ないと感じる。
⑦   新聞を読む、またはテレビを観ることなどに集中することが難しい。
⑧   他人が気づくぐらいに動きや話し方が遅くなる、あるいはこれと反対にそわそわしたり、落ちつかず、普段よりも動き回ることがある。
⑨   死んだほうがましだ、あるいは自分を何らかの方法で傷つけようと思ったことがある。
 特に⑨が深刻で、早急にカウンセリングや内服治療を要します。今や心の健康にも十分に留意する時代なのだと感じています。 ( 文・神経内科 則行 英樹 )
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