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神経内科通信

2019年12月号 感染症と転倒を予防しましょう!

 今年も残すところあとわずかとなりました。一年はあっという間に過ぎていきますね。みなさまにとって今年はどのような一年でしたでしょうか。
 今年十月に北九州で、小倉医師会主催の講演会の演者を務めてまいりました。パーキンソン病という病気についての医師向けの講演でしたが、原稿をまとめる際に、パーキンソン病の方が不幸にして命を落とされた原因についてあらかじめ調べました。そうしますと非常に特徴的な事実が判明したのです。外来で経過のよかったパーキンソン病患者さんが命を落とされる2大原因がありまして、一つは肺炎、もう一つは骨折に伴なう寝たきり状態でした。
 肺炎についてですが、ワクチンでも有名な肺炎球菌が原因となるものがあるわけですが、実は唾液や食べ物を息の通り道である気管に吸い込んでしまった結果生じる「誤嚥(ごえん)性肺炎」も非常に頻度が高いことがわかりました。これは飲み込み(嚥下:えんげ)の力が落ちることが大きな要因となります。予防策がいくつかありまして、口の中を常に清潔にする、常日頃腹筋を鍛えておく(腹式呼吸の練習を習慣化する)、食事の際の姿勢に気をつける(なるべく前傾姿勢(猫背)にならない)、食事はよく噛んで急がない、食後はすぐに横にならない、必要に応じてリハビリテーションを行う、などがあります。このことはパーキンソン病の方ばかりではなく、一般の高齢者の方々にも当てはまります。
 望まない転倒により体調を崩し、不幸にして命を落とされた方が多いこともわかりました。転んで打ち身程度であれば問題はないのですが、腰椎の骨折、あるいは股関節部(大腿骨)の骨折がありますと、痛みのためにまず立ち上がれません。しばらくはベッド上での生活となります。また、骨折がなくても痛みがひどければこの状態に準じた状況になります。結局、ベッドの上で長く過ごす間に体力、筋力、抵抗力、時に認知機能などが落ちてしまい、肺炎、尿路感染、床すれからのバイ菌感染などを引き起こし、患者さんの命を脅かします。統計を取りますと、寝たきり状態から誤嚥性肺炎を起こした方も少なからずおられました。
 結論から申しますと、パーキンソン病の患者さん方に限らず、高齢者の方々においては共通して「感染症」と「転倒」のふたつに十分気をつけるべき、といえるでしょう。インフルエンザや肺炎球菌の予防接種の実施、嚥下状態の観察、生活環境の整備や筋力・バランス能力といった身体状況、こういったものは、日頃から意識しておく必要がある、とこれまでの私の経験から断言できます。
来年もみなさまのお役に立つような外来通信を発行してまいる所存です。よろしくご支援くださいませ。それではよいお年を。( 文・神経内科 則行 英樹 )
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