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神経内科通信

2020年12月号 リラックスできていますか?

今年もあと残りわずかとなりました。このままですとコロナ騒動に始まり、コロナ騒動に暮れる一年となりそうですね。日常の不安や不満からくるイライラ、ストレスから心の健康を損ね、体調を崩し、なんとなく不安定な毎日を送っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。そのような時にもっとも大切なこと、それは落ち着くこと、すなわちリラックスすることです。

自分の意志に関係なく働く神経を自律神経と呼んでいます。自律神経には身体に活力を与える交感神経と、身体の活力を温存する副交感神経とがあり、両者がバランスを取りながらわたしたちの身体を支えてくれています。イライラや興奮は交感神経の働きを高めますので、緊張や興奮しっぱなしの方は四六時中、交感神経が元気ということになります。その結果何がおこるでしょうか。自律神経的には「戦闘モード」、すなわち、いつでもかかって来い!の状態ですので、おのずと身体は疲れやすくなり、睡眠が浅くなってちょっとした物音でも目が覚め、それでまたいっそう疲れやすくなる、といった悪循環におちいってしまいます。その状況がひどくなれば、うつ気分になるかもしれません。

ですから、わたしたちは一日の中で何回かは副交感神経を活性化しなければならないということになります。そのためにリラックスが必要なのです。

リラックスするやり方は人それぞれだと思いますが、いろいろな本を読んでみますと、おおよそ次のような習慣を持つことが大事なようです。

① 一日数分でも静かな環境に身を置くこと。音を消し(あるいは音量を下げ)、あまり明るい光を浴びず、ソファやイスに楽な姿勢で身を任せる。

② 深呼吸する。とにかく長い時間をかけてゆっくり息を吐くこと。(口をすぼめて息を吐くのがコツ。)これも毎日数分間だけ行えばよいそうです。

③ ゆっくり食事をする。意図的に一口量を減らしてよく噛んで食べる。それを習慣化しますと、副交感神経が活性化しやすくなるのだそうです。

④ 意識的に頭を空っぽにする。これは少々修業が必要になりそうですが、要は「ボーっとする時間を作ること」らしいです。実は意外なことに、ボーっとしている時間が脳の活性化にはとても必要らしく、その時に脳の中ではさまざまな機能の調整が行われるとか。わたしは毎朝、温かいコーヒーをゆっくり飲みながらボーっとしていますが、確かに精神衛生によい効果がありそうです。

このギスギスした世情だからこそ、自分に「リラックスできてるかい?」と問うことは大切ではないでしょうか。来年は不安や恐れのない年になることを祈りましょう。よいお年をお迎えください。  ( 文・神経内科 則行 英樹 )

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