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神経内科通信

2021年7月号 口臭(こうしゅう)学

 

内科外来を担当していますと時折、患者さんから口の匂いについての相談を受けることがあります。私自身、口臭についてはこれまであまり詳しくなかったので、少々勉強してみました。学んだことを簡単にまとめてみます。

口臭を特集した雑誌に載っていたある歯科医師の文章に「動物である限り、口のにおいが消えることはありません。裏を返せば、口のにおいは生きている証(あかし)、ともいえるのです。」とありました。ということは、口のにおいのあるなしが問題なのではなく、そのにおいで周囲の人たちにイヤな思いをさせていないかどうか、が問題になるということになりますね。実際に口臭の医学的な意味は「呼吸や会話の際に口から出てくる息が、周囲の人にとって不快に感じられるもの」となっています。「自分にとって」ではないのですね。

口臭はなんらかの病気が原因となって発生するものなのでしょうか。東京医科歯科大学の品田教授によりますと、健康な大学生の口臭を測定した結果、全体の約2割、多い時で半数近くの学生に明らかな口臭があり、その背景を調べますと、当日に歯を磨いていない、朝ごはんを食べていない、睡眠時間が少なく寝不足傾向にある、といった要因が明らかになったそうです。そういえば、朝、目が覚めた直後や長く運動した後には口のにおいは強くなりますよね。このように口臭は必ずしも病気が原因となっているわけではなく、その場合の口のにおいは専門的に「生理的口臭」と呼ばれています。もちろん、病気からくる口臭も当然あるわけですが、それは「病的口臭」と呼ばれて原因となる病気の場所によって分類されています。口の中に原因があるケースとしては、たとえば唾液が減った乾燥状態、歯周病、感染症、かいようなどが挙げられます。時に鼻の病気である「ちくのう症」でも口臭が強くなることがあるそうです。

全身性の病気が口臭の原因となる場合もあります。頻度的に多いところでは糖尿病に伴なうもの。他にもじん臓病や肝臓病などでも口臭がおこり得ます。

それでは生理的口臭の対策方法です。品田教授によりますとポイントが2つあり、それは「舌の清掃」と「歯と歯の間にたまったゴミ・汚れ(プラーク)の管理」だそうです。舌の表面にはにおいの元となる細菌が常にいて、プラークには細菌が付着して増殖、これがにおいの温床となります。それぞれの手入れには若干コツがいるようですので、関心のある方はぜひ、お近くの歯科医院に相談なさると良いのではないかと思います。最近では、全国の歯科関連の大学病院で口臭専門外来(別名:息さわやか外来)が設置されてきているようです。まさに口臭学はひとつの学問なのですね。 ( 文・神経内科 則行 英樹 )



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