神経内科通信
2013年05月号 「脳卒中を予防するために(その4)」
先月号に引き続きまして、日本脳卒中協会が発表した「脳卒中予防十か条」の解説を進めてまいります。
その4 予防には タバコを止める 意志を持て
全国的に嫌煙の風潮が高まり、タバコを吸われる方は肩身がせまい思いをなさっていることでしょう。タバコの煙の害については多くの方々の知るところですが、実はタバコは脳卒中発症の大きな危険因子であることがわかっています。たとえば、脳動脈がつまる脳こうそくについては、喫煙される方のほうがそうでない方に比べて1.9倍の発症率、脳動脈のこぶが破れるくも膜下出血にいたっては2.9倍にまで発症率が高まることが報告されています。
全国的に嫌煙の風潮が高まり、タバコを吸われる方は肩身がせまい思いをなさっていることでしょう。タバコの煙の害については多くの方々の知るところですが、実はタバコは脳卒中発症の大きな危険因子であることがわかっています。たとえば、脳動脈がつまる脳こうそくについては、喫煙される方のほうがそうでない方に比べて1.9倍の発症率、脳動脈のこぶが破れるくも膜下出血にいたっては2.9倍にまで発症率が高まることが報告されています。
では、喫煙する方は一生その数字をひきずるのかといえばそうではなく、禁煙によって危険性を大幅に下げることができます。だいたい1年間の禁煙で脳卒中の危険性を半分に減らすことができ、5年間の禁煙でタバコを吸わない方と同じくらいの発症率に押さえることができるそうです。禁煙という言葉は少々キツイ響きがあるので、タバコを卒業するという意味で、卒煙(そつえん)という言葉を私は使っていますが、いかがでしょうか。
その5 アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
「酒は百薬の長」ということわざがあります。昔の人は実にうまいことを言ったものですね。適度の量のお酒であれば、身体の疲れはほぐれますし、肉体的にも精神的にもリラックスすることができます。少々言い過ぎかもしれませんが、状況によっては精神面や健康面にプラスとなることがあるでしょう。さらに言えば、時にお酒は人間関係を円滑にし、社会生活を営む上で大きな効用が期待できます。意外かもしれませんが、適量のお酒を適正に飲んでいる方は、お酒を全く飲まない人や大量に飲む人に比べて心臓病の死亡率が低いという医学的なデータもあるのです。
「酒は百薬の長」ということわざがあります。昔の人は実にうまいことを言ったものですね。適度の量のお酒であれば、身体の疲れはほぐれますし、肉体的にも精神的にもリラックスすることができます。少々言い過ぎかもしれませんが、状況によっては精神面や健康面にプラスとなることがあるでしょう。さらに言えば、時にお酒は人間関係を円滑にし、社会生活を営む上で大きな効用が期待できます。意外かもしれませんが、適量のお酒を適正に飲んでいる方は、お酒を全く飲まない人や大量に飲む人に比べて心臓病の死亡率が低いという医学的なデータもあるのです。
気をつけていただきたいのですが、これはあくまで適量での話です。当然ながら度を越せば「過ぎれば毒」の言葉通り、長期にわたる大量の飲酒は肝臓のみならず、神経系や脳血管系にも大きな影響を及ぼします。健康・体力づくり事業財団が発表した「健康日本21」に適度な飲酒の目安が記載されています。それによりますと、日本酒ならば1日に1合まで、ビールであれば1日に中瓶1本まで、ワインならば1日にグラス2杯までが目安とされています。まずはご自身の生活習慣を見直してみてください。改善すべき点があれば、早速今日からでもいかがでしょうか。
( 文・神経内科 則行 英樹 )