神経内科通信
2015年10月号 「外来通信が通算100号になりました。」
私が大分医科大学(現:大分大学医学部)第三内科(現:神経内科教室)の命により、ここ酒井病院に赴任しまして今月で14年目を迎えました。理事長先生をはじめ、すべての病院関係者の方々、何よりも多くの患者さん方に支えられて今日があります。平素よりご支援いただいている方々に心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。赴任当時36歳だった私も今月で50歳になります。これまでずっと週1日のみの非常勤勤務ではありますが、この13年間、たくさんの患者さん方との出会い、そしてお別れを経験してまいりました。特にこの数年間、馴染みの患者さん方が多く他界されております。私は今でもそのお一人お一人のお声、笑顔をはっきりと思い出すことができます。その方々からお叱りを受けぬよう、これからも真摯(しんし)に診療業務に取り組んでまいる所存です。どうかこれまでと変わらぬご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
さて、早いもので毎月発行しているこの外来通信も通算100号を迎えました。外来通信第1号は平成19年の6月に外来を受診なさった患者さんにお渡ししております。振り返りますとあの当時はグルメブームの後に到来した健康ブームの最中であり、世相を反映してさまざまな健康に関する情報が巷(ちまた)にあふれておりました。患者さんの中には誤った情報に惑わされていたり、勘違いからか医学的にみて明らかに間違っている健康法を実践なさっている方もいて、非常に心配な状況を目の当たりにしたことを今でも覚えております。その経験から、診療上の私の信念である「自分の命は自分が守る」こと、「単に薬に頼りきるのではなく、その薬が効きやすい身体を自分の努力で作っていく」こと、そして私のライフワークである「寝たきり予防」、そういったものを患者さん方にわかりやすく正確に伝えていきたいと思うようになっておりました。短い診察時間ではすべての患者さんに伝えることは非常に難しく、いろいろと考えた末に外来通信の発行を思いついた経緯があります。
当初は真っ白な紙に本文をコピーしただけの味気ないものでしたが、その後はカラフルな色紙になったり、さらには外来のスタッフが選んでくれたイラスト付きの季節感あふれる、きれいで可愛らしいものになっています。今では多くの患者さんが喜んでくださり、「楽しみにしているよ」と声をかけていただけるようになりました。当外来や酒井病院を身近に感じてくださっているな、と実感し嬉しく思っております。いつまで続くのかわかりませんが、もう少し頑張って発行していこうか、と思っております。
( 文・神経内科 則行 英樹 )