神経内科通信
2016年01月号 「明けましておめでとうございます。」
平成28年をみなさま方と無事に迎えることができ、大変嬉しく思っております。旧年同様、今年も酒井病院をよろしくお願いいたします。
さて、みなさまは「平均寿命」と「健康寿命」という言葉をお聞きになったことがおありですか? ごく簡単に説明しますと、平均寿命とは「0歳児が平均してこれから何年間生きられるのかを表した数字」であり、健康寿命とは「日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間」のことを示しています。では、大分県のデータはどうなっているのでしょうか。県のホームページによりますと、平成22年のデータで大分県はそれまでの10年ほどで全国で唯一、男女ともに平均寿命が2歳以上延びて長寿県トップテンの仲間入りを果たしたそうです。具体的には男性の平均寿命が80.06歳で全国第8位。女性の平均寿命が86.91歳で全国第9位。このデータだけを見ると実に優秀な成績といえるのですが、一方で健康寿命が気になります。長生きをするのであれば、人の手を借りずになるべく自立した生活が望ましいからです。これも県が発表したデータですが、大分県の男性の健康寿命は男性が69.85歳で全国第39位。女性の健康寿命は73.19歳で全国第34位でした。単純に考えますと、大分県は全国有数の長生き県だけれども、全国有数の介護県ということにもなりそうです。(これらはすべて国が発表したデータに基づきます。)
これまでは長生きさせることのみを医療の目標とする風潮がありましたが、今後は「元気に長生き」をスローガンにすべての人々が努力する時代になろうかと思います。厚生労働省は定期的に介護を要する病気の順位を発表しています。最近では脳卒中(脳の動脈が破れたり、詰まったりする病気)が常に第1位となっております。次に認知症、老衰、転倒・骨折と続いているようです。老衰は防ぎ得ないとしても、脳卒中や骨折については確実に予防が可能であり、認知症については早期発見により適切な治療を行うことで、日常生活の自立を維持することが十分に可能です。
毎年、新年を迎えるにあたり当外来は診療目標を掲げています。先に述べさせていただいたことから、今年の診療目標は「みなさまの健康寿命を延ばすお手伝いをさせていただく。」に決定いたしました。外来に通院なさっている方々全員が、お元気で自立した生活が長く営めますように治療、アドバイスをさせていただく所存です。もう一言付け加えるならば、この「健康寿命を延ばす」は私だけでなく、すべての患者さんがご自分の目標にしていただくことを願いたいです。今年もよろしくお願いいたします。
( 文・神経内科 則行 英樹 )