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神経内科通信

2013年09月号 「病気を予防するためのヒント」

  過日、脳卒中予防に関する記事をシリーズでお伝えしましたが、脳卒中に限らず、予防できる病気については徹底した予防策をとることが大事だと私は考えます。今回は日常簡単にできる病気の予防方法について、3つのヒントを記してみたいと思います。
 
【ヒント1 定期検査からヒントを得る】
  外来では定期的に検尿、採血、胸部レントゲン、心電図などを実施します。これらは治療経過をみる上で非常に重要な検査なのですが、新たな病気を見つける際にも威力を発揮します。心臓の状態を調べるために撮影した胸部レントゲンで偶然に肺がんが見つかったり、たまたま調べた頭部CTスキャンで脳こうそくが見つかったりすることは決して珍しくありません。自覚症状がなくても、検査で得られた異常については早期に治療しておく必要があり、このことがひいては病気の予防につながることになるでしょう。血管の老化(動脈硬化)を異常なスピードで進行させる高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などについては、私は診察室で常に目を光らせています。現在のご自分がかかりやすい病気は何だろうか、と考えながら検査を受けることは大切です。
 
【ヒント2 親、兄弟がかかった病気は特に注意する】
  遺伝的な体質、同じような生活習慣から、一つ屋根の下に暮らした家族には同じ種類の病気がみられることが多いようです。両親(時に祖父母)や兄弟がかかった病気については自分自身も気をつけておく心構えは必要だと思います。特にがん、心臓病、脳卒中については家族の中で多発する傾向があるようですので、身内の方にそれらの病気が見られる場合、地域の健診や病院での定期検査を利用し、ご自分の身体をチェックなさったほうがよいでしょう。
 
【ヒント3 いつもと違う体調の異変に気をつける】
  普段から頭痛はあるけれど今日の頭痛はいつもと違う、視力には問題がないはずだけど、今日の見えかたはいつもと違う、胃の調子が悪いことは今まで何度かあったけれど、今回の胃の痛みかたは経験がない、など、自分の体調がいつもと違うことで病気の発症に気づくことがあります。厳密には病気の予防とは言えませんが、早期発見により悪化の予防は可能なのではないでしょうか。実際に「いつもと違う」ことで早期発見、救命できた病気として、くも膜下出血、心筋梗塞、脳こうそく、胃がんの患者さんを私は経験しました。
 
  人それぞれに健康法は異なると思いますが、これまで述べた3つのヒントは日常生活の中で大いに役立つものと考えています。
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
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