神経内科通信
2014年01月号 「新年明けましておめでとうございます」
平成26年をみなさまと共に無事に迎えることができ、心から嬉しく思っております。新年に際し、気持ちも新たに診療に励んでまいる所存です。旧年同様よろしくお願いいたします。
今年も診療目標を掲げます
毎年、年明けに当外来の診療目標を掲げています。今年も去年同様に「寝たきりの原因となる病気の予防と治療」「頭痛・めまい・認知症の診断と治療」の二つを目標にしたいと思います。
さて、寝たきりの原因となる病気といえば何といっても脳卒中です。わが国の死亡原因としては肺炎に第3位の座を奪われましたが、寝たきりの原因としては依然第1位であり、私たちの生活の質を維持するためにも、そして右肩上がりに増え続ける医療費を抑制するためにも、脳卒中予防は医療従事者のみならず、今やすべての方々が取り組まなくてはいけないテーマではないかと思います。今年も引き続き、脳卒中予防の啓発活動に力を入れてまいります。
そして意外と知られていないのが、寝たきりの原因の第2位が認知症であるということです。ご存じのように認知症の代表格といえばアルツハイマー型認知症ですね。アルツハイマー型認知症の第一の危険因子は85歳以上、すなわち加齢であるといわれています。若年者よりも年配者の方が罹患しやすいことは紛れもない事実です。次にある遺伝子(これをアポリポ蛋白E4遺伝子といいます)を有している方。この遺伝子を持っていると発症の可能性が20%から90%に高まり、発症年齢を84歳から68歳に低下させます。このように加齢因子と遺伝子が2大危険因子といえそうです。その他にも生活習慣病、たとえば高血圧症や糖尿病の方は発症の危険性が2~3倍に上昇するとされ、さらに偏食も危険因子とされています。ある研究データによりますと、魚をまったく食べない人は5.29倍、肉をまったく食べない人は6.23倍に発症の危険性が増すそうです。治療の可能な認知症がある一方、残念ながら根治が期待できない認知症もあります。しかし、早期に治療を行うことにより病気の進行をかなり遅らせることができますので、認知症の可能性のある方を早めに発見し、適切な治療、アドバイスを行うことも私の外来に課せられた使命であると考えています。
今後も最新の医療や病気のことなど、わかりやすくこの外来通信でお伝えしてまいりたいと思います。みなさまの健康維持に役立つ外来とすべく努力してまいります。ご支援をよろしくお願いいたします。
( 文・神経内科 則行 英樹 )