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神経内科通信

2024年8月号 酷暑下の運動療法

注目

  

 

 たいへん暑い日が続きます。先月初旬から異常な暑さが始まり、頃を同じくして県下では熱中症で亡くなった方もおられました。本当におそろしい暑さです。

 

 外来では熱中症に対する注意をさせていただいていますが、「暑いから基本的に家から外には出ない」「涼しい部屋でじっと横になっている」というお返事に私はもちろんホッとするのですが、同時に心配もないわけではありません。

 

 生活習慣病の改善(ひいては脳卒中や心筋こうそくの予防)に運動療法が有効であることはよく知られています。特に長時間継続して行う運動(有酸素運動といいます。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など)は重要で、特にいつでも気軽に行うことができるウォーキングに関しては、十分間に千歩を目安に一日30分~60分が効果的と言われています。(十分間ずつに小分けにしてもよいそうです。)これにより、足腰の筋力をも維持できるという一石二鳥の効果が期待できるわけですが、思い出されるのは先般のコロナ禍です。あの時は外出を控える方々がとても多くて、自宅に長期間こもった結果、足腰は弱り、生活習慣病のコントロールは悪化し、患者さんによっては認知機能の低下が一気に進む、という惨状を経験しました。この猛暑の中、同じようなことが繰り返されるのではないか、私はそれがとても心配なのです。何らかの対策が必要です。

 

対策①:座りっぱなしの時間を減らしてこまめに立つべし。

 約三十分おきに立ち上がり、軽く足踏みをするとよいようです。この度調べてみて興味深かったのは、立ち上がる頻度が多いほど血糖値が下がりやすくなるという研究報告があったことです。また、ひんぱんに立ち上がることにより自律神経が鍛えられ、身体内部のバランスが良好に保たれる効果も期待できます。

 

対策②:全身の筋肉に軽い負担をかけるべし。(軽い筋肉トレーニング)

 座っていても背もたれを用いないことが大切です。背もたれを使えばそこに体重をあずけてしまうので、身体は楽ですが筋肉はほとんど使われません。背もたれを使わずに座ってみましょう。身体の中心筋を鍛えることができます。また、少量の水を入れたペットボトルをじっと持ったり、ゴムチューブで足の筋肉を伸ばしっぱなし、縮めっぱなしもよい運動になります。屈伸運動はその後に。

 

対策③:テレビ体操を活用するべし。(これは非常に有効な筋トレ法です。)

 NHK番組にテレビ体操がありますが、この体操は実によく考えられていて、日常的によく使う筋肉をくまなく動かすことができます。イスに座っても実施できますのでおススメです。一日3回を目安になさるとよいのではないでしょうか。この暑い夏を無事に元気で乗り切りましょう! 

( 文・神経内科 則行 英樹 ) 

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