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神経内科通信

2008年12月号 「腰痛について」

  腰痛は二本足で立つ人間の宿命と言われています。日本人の5人のうち4人は腰痛を経験しているそうです。実を言いますと私も腰痛持ちで、急に腰をひねっただけで数日間は腰痛に悩まされます。皆さまはいかがですか?というわけで、今回は腰痛について簡単にお話ししたいと思います。
 
  腰痛の原因は大まかに次のように分類されます。
 
  1. 腰の筋肉痛
  2. 突然の衝撃
  3. 骨そしょう症
  4. 内蔵の病気以上です。
 
1については長い時間、ずっと同じ姿勢や無理な姿勢をとり続けることによって起こります。次に2ですが、これは突然の事故やケガによって起こります。打ち身(打撲)やぎっくり腰などからくる腰痛がこれに当たります。3の方は非常に多いですね。これは腰骨や椎間板(ついかんばん:骨と骨と間にあるクッション)の変形によって起こります。腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、変形性腰椎症などの病名をお聞きになったことがあると思います。4については実にさまざまな病気がありまして、腎臓結石や尿管結石、婦人科の病気、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう:血管のこぶ)、がん、胃かいよう、慢性の便秘、胆のうの病気などが腰痛を合併することがあります。この場合、腰痛は「年のせい」と言ってはいられませんね。
 
  それでは腰痛対策についてお話しします。どのような点に気をつければ腰痛の予防ができるのでしょうか。腰痛に関する専門書数冊に目を通してみましたが、その共通するところでは「無理のない姿勢」が大切であると書かれていました。腰への負担は、立っているときよりも座っているときのほうが大きいようです。つまり長い時間、座り続けるのは腰によろしくないということになります。ですから、長くいすに座る習慣をお持ちの方は気をつけてください。いすに腰かける際には、なるべく深くかけるようにします。いすの高さは座ったとき、ひざが太ももより少し高めになる程度に。座ることより立つことが、立つことよりも歩くことの方が腰にはよいそうです。しかし、台所仕事のような前傾姿勢も腰への負担が大きいようです。特に流し台が低すぎると腰痛の原因になりやすいので高さに注意を。女性の場合、ハイヒールでの長歩きも腰に大きな負担となります。
 
  次に、腰がだるい、朝起きたときに腰の調子が何となくおかしいと感じたときには早めに対策を。場合にもよりますが、私は腰を休めるためになるべく横になるようにしています。あお向けに寝た状態で、ひざを軽く曲げると腰がまっすぐになって楽です。また、立ったまま両手を腰に当てて、腰をゆっくり回転させても腰は楽になります。腰痛でお悩みの方は、当外来でもご相談に応じます。お気軽におたずね下さい。
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
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