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神経内科通信

2010年01月号 「かかりつけ医の大切さ」

  新年明けましておめでとうございます。早いもので、私がここ酒井病院で外来を担当させていただいて今年で9年目を迎えます。これからも患者さまがたの力になれるように頑張りますので、よろしくお願いいたします。
 
  最近、ちょっと気になることがあります。私の外来に初めてお越しいただいた患者さんの中に、定期的に受診している病院・医院があるにもかかわらず、そこの担当医師に全く相談をされていない方が多くいらっしゃるのです。
 
  もちろん、担当している医者が気むずかしくてなかなか言い出せない、他の病院にかかることが申し訳なくて言えない、といったような仕方ない事情も時にはあるかとは思います。しかし、ことは健康(時には命)にかかわる問題ですので、この機会にかかりつけ医の大切さについて考えてみましょう。
 
  かかりつけ医の重要な役割は、定期的にお薬を処方することだけではありません。受診された患者さん一人ひとりが持つ病気の特徴や、検査データなどを平素よりきちんと把握し、症状に変化が生じた場合には、ただちに的確なアドバイスや治療を行なう、というとても大切な役割もあるのですね。ですから、「○○病院で長く治療をしているけれども、少しも良くならないので担当医にだまってこちらに来ました」と言われても私はとても困ってしまうのです。
 
  私がまず何よりも知りたい内容は以下の点です。「今までかかりつけの病院でどのような検査を行い、その結果はどうであったのか。」「担当医師はどのような考えでどのようなお薬を処方したのか。」「症状が良くならないことについて、どのような説明をしたのか。」それらを私が全く理解せずに検査や治療を行なうことがあってはいけないのです。
 
  ずっと以前、耳鳴りがなかなか治らなくて、高血圧で長くかかっている医院があるのにもかかわらず、そこの医者に何も相談をしないまま、何と5つの病院(!)を受診していた方がいらっしゃいました。その結果、6人の医者がお互いに何の連絡を取り合わないまま、その方に同じような検査を行い、同じようなお薬を処方していたのです。(似たような効用の胃薬が3種類処方されていたように記憶しています。)これはとても恐ろしいことですね。
 
  かかりつけ医は担当患者さんのすべてを把握していなければなりません。ですから、気になる症状があればどんなことでもかかりつけ医に相談し、検査・治療、あるいは他院(専門科)への紹介を速やかに行なってもらうべきです。どうか遠慮なさらずに相談なさってください。私をかかりつけ医にされている方には、特に理解していただきたいと思います。
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
 
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