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神経内科通信

2020年8月号 脳の健康を維持・増進するために

 もう数年前のことになるでしょうか、私の外来を受診されたある患者さんが次のようにおっしゃっていました。「私の母、八十歳になりますけど元気なんです。だから最近、頭の健康のために毎日クロスワードパズルをさせているんですよ。」なるほど、それは素晴らしい健康法ですね、と言いたいところではありますが、この習慣、あまり頭の健康にはよろしくないかもしれません。
 ケチをつけるわけではないんですが、もし、私がクロスワードパズルを家族から与えられて、ハイ、毎日やんなさいよ、って言われたらどう思うのかな、と考えます。来る日も来る日もクロスワードパズル。これは確実に飽きがきますね。仮に続けていたとしても、ただなんとなく惰性でやっているか、家族がこわくて強制的にやらされているかのいずれかになるのではないでしょうか。実は長い期間、なんとなくやっている、やらなくては一大事だ(強迫観念とも言えますね)と思いながら行うことは脳の健康に悪影響を及ぼしかねません。
 現代は情報化社会です。テレビをつければいろいろな番組、そしてインターネットにつながればそれこそ情報の嵐。私たちの身の回りには有益な情報もあれば、有害無益な情報もたくさんあります。問題は、身の回りにあふれる情報をただ漠然(ばくぜん)と見聞きすることが脳の健康には非常に悪いということです。何も感じずに、何の関心を持たずに情報に接すると脳疲労を引き起こすとされているからです。だから、情報に接するときには「興味」や「関心」を持つことが、脳の健康を維持するポイントになるのです。興味を持つ、関心を持つ、おそらくこれは脳の若返りにも役立つ可能性があります。
 では、興味や関心を持つには何が大切かを考えます。あくまで私見ですが、身の回りのことに注意を向けること。これがポイントでしょう。ご飯を食べたが美味しかった、ではダメです。どう美味しいのかを表現する。ああ、庭の花がキレイだ、ではダメです。どうきれいなのかを表現する。もう、腹が立つなあ、ではダメです。どう腹が立つのか説明すること。今日は少しばかり気力がわかないな、ではダメ。気分が乗らない状態を相手にわかりやすく説明してください。以上のことは面倒くさくても大事です。さまざまなことに注意を向けるためには、評論家のように物事を解説し、説明する習慣を必要とします。
 そしてもう一つ。それは行動的になること。今まで興味がなかったこと、知らなかったことに対しても積極的に経験してみることです。ほとんどの方が「もう自分は年だから」「面倒くさいから」を口実にして家に閉じこもっておられるように感じます。もったいないですね。   ( 文・神経内科 則行 英樹 )
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