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神経内科通信

2020年9月号 日光過敏症

今年の8月は例年にも増して日差しの強い日が続きました。以前、この外来通信で私は日光浴の重要性を書きましたが、今回は強い日光が逆に身体に悪影響を及ぼす病気について書いてみようかと思います。それは日光過敏症です。
 日光過敏症は別名、光線過敏症、日光アレルギーとも呼ばれます。この病気はどのようなものかといいますと、強い日差しを浴びた身体の露出部分を中心に、皮ふが赤くなって腫れたり(時にジンマシンのような状態になります)、あちこちに小さいブツブツや水ぶくれができ、通常、ひどいかゆみを伴います。多くの場合、症状は日光を浴びて約30分から数時間の間に出現します。典型的には治療をせずとも数分から数時間で症状は消失するといわれていますが、場合によっては数日間、長いケースでは数週間もかゆみを中心とした症状が続くことがあるそうです。そうなりますと、日に当たってかゆみが出てきたからすぐ日陰に行こう、すぐに水で皮ふを冷やそう、といっても簡単に症状はとれませんので治療が必要です。実は私自身日光過敏症を経験しています。
 7年前に夏休みを利用して家族を河川プールに連れて行った時のことです。私は帽子、半袖のTシャツと短パンという軽装で出かけましたが、日光に当たって数十分が経ったでしょうか、両ひじのところに4~5個の小さなぶつぶつができ、非常に強いかゆみを覚えました。ジンマシンかな、と考えてしばらく様子をみましたが、しだいに両腕から手の甲にかけて赤みが増してひどいかゆみを伴いました。すぐに自宅に戻り、アレルギーの飲み薬と塗り薬を使いましたが、数日間は症状が残り、日常生活に支障をきたす結果となりました。
 ではなぜ日光過敏症が起こるのか、これにはいろいろな原因があります。一般的には遺伝的な体質、体調、食べ物(セロリ、クロレラ、ドクダミなど)が挙げられますが、一番頻度が高いのが薬剤性、すなわち飲み薬や貼り薬によるものなのだそうです。実際、私も副作用に日光過敏症の報告がある飲み薬を服用していました。貼り薬や塗り薬が原因でおこるものを光接触皮膚炎といい、使用した部位に一致するかぶれが特徴で、飲み薬が原因で起こるものを光線過敏型薬疹(やくしん)と呼び、露出部位を中心に広い範囲に症状が出現します。
 予防法の大原則は2つあります、1つには原因となる薬剤を使用しないこと、もうひとつには日焼け止めクリームの使用や日に当たる露出部位を極力少なくすることです。私も内服薬の種類を変更したことで、日に当たっても症状は出なくなりました。(日焼け対策は継続中です。)日光過敏症に思い当たる方は外来にてお気軽にご相談ください。( 文・神経内科 則行 英樹 )
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