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神経内科通信

2020年11月号 感染症予防について考える

あの暑かった八月はどこへやら、この頃では涼しさ、時に寒ささえ感じるようになりました。季節は確実に移ろいますね。さて、いよいよ感染症対策に力を入れなければならない季節を迎えました。世間ではコロナウイルスの話題を見聞きしない日がないくらいの大騒ぎになっていますが、ウイルス感染症でイヤな病気はコロナだけではなく、インフルエンザ、嘔吐下痢症、肺炎などもあります。以前、この通信で感染症対策をテーマにしたことがありますが、復習の意味を込めてもう一度だけ触れておきたいと思います。以前にもお伝えしたように、感染症にかからないコツは病原体の感染経路を断つことにあります。言い換えれば、自らを病原体の「通り道」に置かないことが大切なのです。

①人ごみの中に入らない。3密を避ける。

他人の咳やくしゃみで飛び散っただ液の小さな粒子を吸い込んで感染する飛沫(ひまつ)感染や空気感染は、人が多ければ多いほどその機会が増すことになります。どうしても必要な用件がある場合は別として、なるべく人ごみを避けること、不必要な外出を避けることは、簡単に実施できる感染症の予防法です。昨今よく見聞きする「3密を避ける」ことは優れた知恵だと思います。

②マスクを着用する。

ご存知のように、私たちが日常的に使用する一般的なマスクではウイルスを完全にシャットアウトすることができません。では感染症予防にマスクは無効か、といえばそれは違います。自分が出した飛沫が周囲へ広く飛び散るのを防ぐのはもちろんですが、もう一つ。私たちは無意識に目、鼻、口などをひんぱんに触っています。その際、指についた病原体を鼻や口の粘膜に移してしまうことがあり、これを接触感染といいます。この接触感染を予防する目的で、マスクの着用は非常に有効だと結論づけた研究結果を私は見たことがあります。

③しっかり手洗いをする。

私たちは毎日の生活の中でいろいろなものを手で触ります。一見、きれいに見える手にも実はヨゴレや感染症の原因となる病原体が多数付着していることがあります。手洗いはちゃんと石鹸を使って念入りに行いましょう。

④他人への思いやりを忘れないこと。

 これは私の考えですが、感染症対策の基本は他人への思いやりだと思っています。すなわち「自分の身体をしっかり守る、そして他人の身体をもしっかり守る」の精神ですね。自分さえ良ければ、の考えが浸透している限りにおいては、感染症の根絶は不可能だと考えています。 ( 文・神経内科 則行 英樹 )

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