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神経内科通信

2022年2月号 早寝早起き朝ごはん

 一時期、大人しかったコロナウイルスですが、オミクロン株となり再び感染流行期(第6波)を引き起こしてしまいました。第6波の襲来については予想通りではありますが、感染拡大のスピードはこれまでの流行よりも早い印象を受けます。しかし、1月中旬現在、感染は20代の若い方々が中心で、症状は非常に軽いケースがほとんどです。とはいえこれまで通りに気を緩めず、引き続き力を合わせてコロナの収束に向けた努力を続けてまいりましょう。
あなたは「体内時計」をご存知でしょうか。これは別名「生物時計」とも呼ばれ、地球の二十四時間周期(昼夜の規則正しい変化)に合わせて、ほぼ一日(実際には約27時間とされています。)のリズムで体内の環境を変化させるからだの仕組みです。これまでの研究で、脳にある脳時計と内臓・筋肉にある末梢(まっしょう)時計の2種類が判明しています。さらには、体内時計とからだの抵抗力との間に関連があることも明らかになりました。海外で発表された論文によりますと、マウスにインフルエンザウイルスを感染させる実験を行ったところ、遺伝子の変化によって体内時計を失ったマウスの死亡率が、正常のマウスの約2倍となった結果が得られたということです。この結果は、体内時計とからだの抵抗力との間には密接な関係があることを示しています。
一日約27時間の周期を持つ体内時計ですが、脳時計は朝の光でリセットされ、夜の光で時計を遅らせます。つまり、夜型の生活は体内時計を乱すことになります。また、末梢時計は早朝の食事や運動によってリセットされ、朝食抜きや夜遅い食事によって時計を遅らせることになります。そうしますと、夜はなるべく早めに床に就き、朝はやや早めに起床し、朝のごはんはしっかり食べる、すなわち、「早寝早起き朝ごはん」が抵抗力(免疫力)を高める基本的な生活習慣であるといえます。このスローガンをぜひ覚えておいてください。
早稲田大学の柴田教授は東京の公立小学校に通う児童約7000人を対象に朝ごはんと体内時計との関連を調査なさいました。朝ごはんを和食、和食+洋食、洋食、乳製品(シリアル)、欠食(朝食抜き)の5つのグループに分けて検討したところ、朝ごはんが和食の子どもほど早寝早起き型で、ならべた順に夜型の生活習慣となっていたそうです。朝食抜きのお子さん方が心配ですね。
古来より和食のパターンである一汁三菜(ごはんと汁、主菜、副菜)は栄養バランスを保ちやすく、免疫力を高めるのに最適な食事形態とされています。特に野菜を食材とする副菜(和え物、煮物、炒め物)不足が問題です。早寝早起き朝ごはんの大切さを再考してみませんか。
( 文・神経内科 則行 英樹 )

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