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神経内科通信

2022年7月号 健康寿命 大分県は大躍進!

 去る6月6日、大分合同新聞の記事を読んで私は驚きました。厚生労働省が令和元年に実施した調査によりますと、大分県の健康寿命が男性で全国一位、女性で全国4位だったそうです。健康寿命を簡単に説明しますと、病気やケガなどによって介護(他の人からの手助け)を必要とせず、日常生活を制限されずに自力で生活できる期間のことをいいます。発表によりますと、男性の健康寿命が73.72歳(全国平均が72.68歳)、女性の健康寿命が76.60歳(全国平均が75.38歳)となっています。私は数年前の外来通信で大分県の健康寿命について述べています。その時は2016年に実施された調査結果を参考にしておりまして、男性が第36位(71.54歳)、女性が12位(75.38歳)でした。この数年間で、大分県の健康寿命は大きく躍進を遂げたことになります。

新聞の記事によりますと、大分県は2015年に健康寿命日本一の実現を目標に、官民39団体が合同で参加した「健康寿命日本一おおいた創造会議」を立ち上げています。これにより自治体ごとの取り組みが強化されまして、地域の住民の方々を対象とした健康教室、健康に関連したイベントの開催、健康診断参加の促進などが積極的に行われるようになりました。私自身も複数の地域の健康イベントで健康教室の講師を勤めさせていただきました。地域住民の方々が数多く参加なさり、医師のみならず、看護師さん、栄養士さん、リハビリテーション療法士さん、保健士さん、行政の方々などが協力し合い、盛会だった記憶があります。コロナ終息後、ぜひまた再開していただきたいものですね。

さて、私たちは健康寿命延伸のために、ただ行政の取り組みを待っているだけではいけません。まずは「医師に相談しながら生活習慣病をコントロールすること(あるいは生活習慣を見直すこと)」と「筋肉の衰えから来るケガ(骨折)を予防すること」、この2つから始めましょう。食事・運動療法は年齢や病気によってアドバイスが異なりますので、ぜひ病院にてご相談ください。

 大分県は今後さらに健康寿命延伸に力を入れていく方針のようです。具体的には市町村ごとに「介護を要するまでの期間」「メタボリック症候群」「血圧管理の状況」などの項目について毎年チェックする方針を固め、健康意識の機運を高めようとしています。県内の各事業所でも禁煙運動やウォーキング(歩き)の推奨、肥満解消に対する取り組みが年々活発化してきています。これらは基本的に働き盛り世代を対象としたものではありますが、同時に高齢に達した方々への働きかけも強化されるものと思います。個人的には高校生を含めた若い世代にも啓発が必要ではと考えています。 (文・神経内科 則行英樹)

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