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神経内科通信

2023年1月号 じん臓を守りましょう

明けましておめでとうございます

 令和5年の幕開けです。旧年同様、本年もよろしくお願いいたします。


 最近、テレビや新聞で慢性じん臓病の予防を啓発するキャンペーンをよく見聞きするようになりました。じん臓は心臓や肺、肝臓に比べますと何となく地味な印象の臓器なのですが、身体の中では実に大事な役割を担っています。

 

 尿を作ることにより身体の水分調節や身体の不要物質の排せつ、血液中の塩分成分の微調整、血を濃くするホルモンの産生、骨を丈夫にするビタミンDを活性化するなど、その働きは実に多岐にわたります。気をつけなくてはいけないのは、その働きが多少悪くなっても最初の頃はなかなか症状に出にくく、早期発見が遅れることがある点です。よって定期的な検査が必要となります。


 一般的には検尿と採血でじん臓の働きを観察します。尿中にじん臓からたんぱくが漏れていないか、採血によってじん臓から捨てられるべき血液中の不要物質がたまっていないかどうかをまずは調べます。これらはたいてい健康診断や外来での定期検査の項目に加えられます。そして、もし異常が見つかれば、じん臓の働きを落とした原因を精密検査で調べていくことになるのです。


 じん臓が健康な状態を保つには、そこに血液がしっかりと流れていることが大切です。じん臓は血管の集まりのような臓器ですから、血流不足はその働きに大きく影響します。じん臓に血液を送る血管(じん動脈)に動脈硬化や動脈の壁が厚くなる状態が起こったり、まれではありますが、お腹の太い動脈にできたコブ(動脈りゅう)が原因となってじん臓へ行く血液の量が減りますと、とたんに腎ぞうは悲鳴を上げます。よって、じん臓を守る第一条件はじん臓に流れ込む血流を保つことである、といえるでしょう。まず私たちが心がけるべきことは動脈硬化の進展を予防すること、すなわち食事や運動といった生活習慣を見直し、血圧やコレステロール、血糖などを適切に管理することです。


 次に私たちがなすべきこと、それは食事において塩分の摂り過ぎに気をつけるということです。先ほども述べましたが、じん臓は休むことなく血液中の塩分濃度の調整を行っているわけですので、過剰な塩分摂取はじん臓の負担となります。ですから、塩分の摂りすぎは心臓に良くない、というよりもじん臓に良くないと考えたほうが良いのかもしれません。最後に下半身を冷やさないこと、これはよく言われることですね。いずれにせよ定期的な検査によってじん臓のご機嫌をうかがうことは大事なことですね。

 ( 文・神経内科 則行 英樹 )

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