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神経内科通信

2023年6月号 骨粗しょう症の食事療法

 最近よく耳にします「骨粗しょう症(こつそしょうしょう)」ですが、その意味するところは「骨の強度が失われて骨折をしやすい状態」となります。だれもが年齢を重ねれば骨粗しょう症になり得るわけですが、特に閉経後の女性にみられやすく、骨折による寝たきり予防の観点からも、すべての方が関心を持つべき病態ではないかと思います。骨粗しょう症患者さんの骨折をいかに防いでいくか、これが医療従事者に課せられた大きなテーマだと考えています。

 骨粗しょう症患者さんの骨折を予防するためには、お薬による治療、運動療法(生活指導)、栄養指導をバランスよく行うことが大切になります。
 体を作る重要な成分のひとつにカルシウムがありますが、体内にあるカルシウムのほとんどは骨に蓄えられます。そして骨を建物に例えるなら、カルシウムはしっかりした外壁を作るコンクリートになります。もちろん、外壁だけでは構造的にもろいですね。実は骨には鉄筋に相当する構造物があり、これはコラーゲンと呼ばれます。これら2つの成分が骨の強度を決定するのです。
  以上をもとに骨粗しょう症の食事療法を考えることになります。まずはカルシウムから。これは食物中に含まれているものが腸管から吸収されます。そして吸収にはビタミンDが必要になります。わたしたちはこのビタミンを主に魚類から摂取しますが、最近のデータでは日本人は慢性的なビタミンD不足であるとの報告があります。次に納豆に多く含まれるビタミンK。このビタミンはカルシウムを骨に定着させる働きがあります。カルシウム、ビタミンDとK。これらはセットで考える必要がありますね。一方、コラーゲンに関してですが、まずはタンパク質をしっかり摂ることが大切です。タンパク質は骨や筋肉を作る成分として有名ですが、コラーゲンの質と量を保つために必須の成分として知られています。動物性タンパクと植物性タンパクとがありますが、バランスよく摂ることが大切だそうです。次に緑茶やピーマンに多く含まれるビタミンC。ビタミンCは細胞内でコラーゲンを作り出す時に用いられます。またビタミンB群(特にB6とB12)は骨折の危険性を減らす効果があります。
 骨の強度を維持するためには、骨自体にある程度の重み(負担)がかかっていることが大事だそうです。実際に小柄でお痩せになっている方は骨粗しょう症になりやすいとの研究報告があります。従いまして、適正な体重を維持することが大切になります。適正な体重は身長をもとに計算できます。興味のある方は外来でお尋ねください。いろいろと書きましたが、バランスよい食事、適正な体重の維持がポイントとなりそうです。
 ( 文・神経内科 則行 英樹 )
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