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神経内科通信

2012年03月号 「不整脈とめまい」

  当外来は「めまい」も専門に診療しています。一般に「めまい」といえば、耳鼻いんこう科が治療を担当するメニエール氏病が特に有名ですが、それ以外にも「めまい」を来たす病気には実に多くの種類があります。当外来を受診される方の中には、耳鼻科に行っても異常なし、脳神経外科に行っても異常なしと言われたものの、めまいがいっこうに収まらない方が少なからずおられます。今回はそのようなめまいの原因の一つとして重要な「不整脈」が引き起こすめまいについてご紹介したいと思います。
 
  不整脈とは何か。まずはここのところから始めましょう。ご存じのように心臓は全身に血液を送り出すポンプに例えられます。心臓は毎分60回~100回の割合で規則的に縮んで血液を全身に送り出していますが、このリズムが崩れた状態が不整脈といえるでしょう。ですが、たとえ拍動が規則的でもリズムが遅すぎたり、速すぎたりしても不整脈に分類されます。また日頃は正常な拍動であっても、時に脈に乱れが出る発作性不整脈もあります。では不整脈を原因とするめまいの特徴はどのようなものかをお話しします。
 
  めまいはその特徴から大きく3つの種類に分けられまして、「ぐるぐるめまい」、「ゆらゆらめまい」「くらくらめまい」と称されます。おおざっぱに言えば、ぐるぐるめまいは主に耳鼻いんこう科が得意とする病気で、ゆらゆらめまいは主に脳神経外科が得意とするめまいとされます。それでは不整脈によるめまいの特徴は何かといいますと、「くらくらめまい」と考えてもよいと思います。俗にいう脳貧血のような症状のことです。このくらくら感は低血圧症の方、あるいは血圧を下げる薬が効きすぎた方にはよく感じられるようですが、特に原因があるわけでもないのに(今まで脳貧血を起こしたことがないのに)発作的に「くらくらめまい」がある方は要注意です。起き上がりや立ち上がりといったからだの動きに関係なく発作性に「くらくら感」がある場合、必ず不整脈の精密検査をしなければいけません。もし、不整脈によっておこるめまいであれば、重症の場合には失神(気を失う)や心停止におちいることがあるからです。
 
  当外来では診察や検査によって耳由来、あるいは脳由来のめまいを診断し、治療をしていますが、まれならず不整脈由来のめまいの方にも遭遇します。その場合、胸の聴診や心電図(24時間心電図を含む)、心臓超音波検査などを実施して診断しますが、幸いにも当院は検査機器が充実しており診断がつきやすく、循環器科のドクターの協力も得られやすい環境にあるため、これまで大事に至ったケースは一例もありません。
( 文・神経内科 則行 英樹 )
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