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神経内科通信

2007年12月号 「安易な「健康法」に注意してください」

  記憶されている方も多いと思います。一時期テレビや新聞のニュースで何度も報じられましたが、関西のあるテレビ局が制作した「納豆ダイエット法」がインチキであったことがわかり、世間から痛烈な非難をあびてテレビ局はその責任をとるために番組の打ち切りを決定しました。ニュースでは、なんともお粗末でいい加減な番組制作の舞台裏が紹介されていましたね。そのニュースを聞いて、僕ら医者は「またか・・」と苦笑していました。
 
  数年前には「ココア」がとても身体によいとある番組の中で取り上げられ、それから全国のスーパーマーケットやコンビニからココアがいっせいに姿を消したことがありました。当時、糖尿病治療を行っていた方が、糖尿病を治すためにココアをたくさん飲み、その結果、逆に血糖が高くなりすぎて病状を悪化させてしまった例があります。「健康」や「ダイエット」についての情報の多さは、そのまま健康に対する世間の関心の高さを物語っているように思われます。
 
  この「インチキ納豆ダイエット事件」をきっかけに、今までテレビや雑誌で紹介されてきた数々の健康法にも、その効果について疑いの目が向けられることは間違いないでしょう。何としてでも正しい情報がほしいものですね。
 
  最近、地域の勉強会で講演させていただく機会が多いのですが、『健康法』についての質問を数多く受けます。ここで理想の健康法について私なりの考えを述べてみます。ポイントは3つ。まず一つめ。健康法を選択するにあたって大切なことは、何はさておきしっかりと自分の身体の弱点を知ることです。身体の弱点を補強するための「健康法」であるならば理にかなっていますね。単に「健康になりたい」という願い(これはとても大切なことですが。)からではなく、弱点補強の目的意識をもって行なう健康法を選ぶべきでしょう。もちろん健康のためとはいえ、一応かかりつけの医者に相談してみてください。
 
  2つめ。継続可能な健康法であること。このことはとても大切です。逆に言えば、いくら正しいやり方だとしても続きそうにない健康法では全く意味がありません。健康法は「ブーム」ではイカンのです。一時的に流行(はや)るだけの健康法はイカサマとは言いませんが、私は信用できない。簡単でもキチンと続けられる、無理のない健康法をぜひともお勧めしたいものです。
 
  最後に3つめ。その時々の体調に応じて方法が変えられる「柔軟な健康法」であること。かたくなに信じこんでしまって修正のきかない健康法は時に身体を壊すことがあるのだと知っておいてください。
 
  今年も残りわずかとなりました。よいお年を。
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
 
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