消化器治療・手術
内視鏡でできる治療
内視鏡は、おなかの中を観察するだけでなく、実際に治療をすることもできます。内視鏡の先端部から小さな器具(=鉗子(かんし))を出して、組織を採取して顕微鏡で観察(病理(びょうり)検査)することなどができます。
検査で病変が見つかった場合には、スネアと呼ばれる投げ縄のような鉗子を用いてポリープを切除したり、早期のがんであれば、病変部にスネアをかけて、高周波電流を流して切り取る方法(内視鏡的粘膜切除術;Endoscopic mucosal resection:EMR)や、最近では、専用の処置具を使ってより大きな病変を切り取る方法(内視鏡的粘膜下層はく離術(Endoscopic submucosal dissection: ESD))も普及が進んでいます。
内視鏡下での手術
内視鏡下外科手術とは、内視鏡で体内を映したモニターを確認しながら、体内で行う手術のことを指します。内視鏡をはじめ、手術に用いられる器具は、おなかに開けた小さな孔(あな)から体内に挿入されます。
内視鏡下外科手術に期待されること
内視鏡下外科手術に最も期待されるのは、患者さんの負担が少ない治療(=低侵襲治療)の実現です。腹腔鏡下外科手術の場合、開腹手術と比較して切開する範囲が小さいことから、キズあとが小さい、術後の痛みが少ない、回復が早い、早期の社会復帰が可能といったことが期待できます。術中も臓器が外気に触れないので腸機能の回復が早く、食事を早期に再開できる場合もあります。 また、開腹手術後の合併症である肺炎や癒着 (ゆちゃく)などを起こす可能性が低いといわれています。