神経内科通信
2020年6月号 備えあれば憂いなし
このところ新型コロナウイルス感染症のニュースを見聞きしない日はなく、この話題はすっかり日常化してしまっています。第2波の襲来が予測されている以上、国民全員が気を緩ませないことが大切ですね。「自分を守る、そして他人をも守る。」お互いに思いやりの気持ちを忘れずに、流行収束の日を迎えたいものです。力を合わせ、今の調子でがんばってまいりましょう。
さて、私は今ほど「備えあれば憂いなし」ということわざの意味を深く考えさせられたことはありません。たとえば、ワクチンや治療薬のあるインフルエンザみたいな病気に対して、私たちの警戒心が若干緩んでしまうのは、ある程度は仕方がないことかもしれません。しかし、このたびは未だに治療方法の確立していない、コロナウイルス感染症の大流行を私たちは目の当たりにしています。地震や洪水といった自然災害と同じく、タチの悪い感染症も忘れた頃にやってくるものなのだな、ということを痛感しました。
地震や水害に対しては平素から最低限の食料・生活必需品の準備、および避難場所の確認をおこないます。経済的な問題に対しては日頃からの保険加入や貯金などで対処します。それでは、感染症に対して私たちは今から何を備えなくてはいけないのでしょうか。
当たり前の話になります。感染症に打ち勝つためには当然、免疫力と体力が必要になります。そのためには日頃から栄養バランスの取れた食事をすること、適度の運動を心がけること、規則正しい生活を送ること。これらは大原則です。それ以外ではたとえば、住民健診や定期検査などを通じて自分の身体の弱点を早期に見つけて治しておくこと、現在、何かしらの病気があれば担当医師と相談の上、しっかりと治療を継続すること、正しい方法による手洗いを習慣化しておくこと、このあたりがポイントになるでしょうか。
おすすめの健康法があります。天気が良い日の早朝、太陽の光を胸に浴びながら、汗をかかない程度に外をゆっくり歩いてみてください。立ち止まって深呼吸するのも良いかと思います。流行性の感染症は日照時間の短い季節に起こりやすいとされています。であれば、今のうちにしっかりと太陽光を浴びておきましょう。免疫力がアップするかもしれません。朝の空気はとても新鮮に感じ、気分がとてもよくなります。ストレス発散にも効果がありそうです。
日頃から「熱が出たらどう対処しようか」、「感染症を疑ったら、どこの病院に相談しようか」、「その時、自分の仕事はだれに頼もうか」、など、備えあれば憂いなし、の気持ちで生活したいですね。( 文・神経内科 則行 英樹 )