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神経内科通信

2022年8月号 急性めまいと発作性めまい

外来でよく受ける質問に「めまいが起こったら、どの診療科を受診したらよいのか」というものがあります。実はめまいを引き起こす原因はさまざまありまして、めまいが起こったら迷わず~科へ、というアドバイスができません。めまいの特徴、同時にみられる症状、そしてめまいを引き起こす病気の頻度をもとに私は診療科を決定します。めまいを急性と発作性に分けて説明します。 

急性めまい。これは今までめまい症状がなかった方に急激に起こるめまいです。代表的な病気に「前庭(ぜんてい)神経炎」「突発性難聴」があります。いずれも内耳(ないじ)と呼ばれる耳の奥深い部分の不都合から発症します。前庭神経炎は比較的頻度が多く、安静や点滴、積極的な薬物治療を要します。この病気は慢性めまいに移行することがあり、経過観察に注意が必要な病気です。難聴を伴うめまいを引き起こす突発性難聴も早期に適切な治療が必要であり、知っておくべき重要な病気です。急性めまいの中では決して頻度は高くないのですが、やっかいなものに脳卒中から起こるめまいもあります。ですから、急激なめまいに襲われた時は、まず脳神経外科にて脳卒中の除外を行ったうえで、耳鼻咽喉科にてなるべく早く専門的な治療を受ける流れとなります。 

次に発作性めまいです。これは同じタイプのめまいを何度も反復するものをいいます。有名な病気といえばメニエール氏病でしょうか。この病気は、耳鳴りや耳をふさいだような感覚と共にめまいが反復するのが特徴です。発作は非常につらいケースが多く、入院を必要とすることが多々あります。治療方針は耳鼻咽喉科の先生に相談して決定します。さて、内科外来でもっとも多くみられるめまいが「良性発作性頭位変換性めまい症」と呼ばれるものです。(実は私がこの病気です。)頭を特定の方向に向けた際にカチンとスイッチが入ったように目が回り出します。くすりも一定の効果がありますが、むしろ普段通りに頭を動かしておいたほうが治りが早いという特徴を持った病気です。私の場合、まずは脳の検査を優先して異常がないことを確認し、次に耳鼻咽喉科でこの病気の診断を受けました。この病気もメニエール氏病も耳鼻咽喉科における最初の診断が大切です。他にも脳の深い部分の血流低下や、パニック発作・不安発作という心療内科的な病気からも発作性めまいを生じることがあります。まれですが、片頭痛という病気の症状の一部としてめまいが起こることもありまして、めまいの原因は実にバラエティに富んでいます。めまい発作では緊急性を調べるという意味でまず脳神経外科を受診し、異常がないことを確認してから耳鼻咽喉科への受診が望ましいと考えます。( 文・神経内科 則行 英樹 )

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