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神経内科通信

2007年08月号 「貧血に気をつけましょう」

  私たちが元気に生きていくために必要とされる大切な栄養成分には実に多くの種類があるわけですが、とりわけ空気中の栄養分ともいえる「酸素(さんそ)」の働きは身体にとって極めて重要なのです。逆に言うと、酸素なしでは私たちは絶対に生きていけないということになります。命の維持に大切なこの酸素を身体のすみずみまで運んでくれるのが血管の中を流れる血液であり、さらにくわしくいえば、その中の「赤血球」という成分になります。
 
  この赤血球の数や、その赤血球の中で酸素を運ぶ役割をしている物質が減ると、十分な酸素を身体のすみずみにもたらせなくなりますが、この状態を「貧血」というのです。当外来に通院されている方々の中にも時に見受けます。
 
  さて、貧血が進行するといろいろな症状が出てきます。貧血があるにもかかわらず、まったく症状のない方もおられますが、代表的な症状はぜひ覚えておいてください。めまい・立ちくらみ、頭が重い、頭痛、耳鳴り、顔色が悪い、動悸・息切れ、疲れやすい、体がだるいなどです。
 
  貧血が見つかれば当然治療をすることになるわけですが、その治療法は貧血をおこす原因によってさまざまです。内科外来でよく見つかる貧血の原因は、お若い方であれば鉄分不足(鉄分は健康な赤血球をつくるために必要な材料とお考えください。)、お年の方であれば胃かいようといったところでしょうか。他にも貧血の原因はたくさんありまして、栄養不良(ビタミン不足)や薬の副作用、やっかいな病気である膠原(こうげん)病、果ては悪性の病気(がん)にいたるまで、その種類は実にさまざまです。
 
  さて、外来ではいとも簡単に貧血を見つけることができるのをご存じですか?平素より定期的におこなっている検査の一つに採血がありますが、この採血をおこなうことですぐに結果が出るのです。もし貧血がみつかれば、今度はその原因についてくわしく調べていかなくてはなりません。治療はその原因次第ということになります。
 
  最近はさまざまな健康法がちまたにあふれていますが、「医食同源」といわれているように、何といっても基本は食事療法でしょう。実は貧血を予防・治療するための食事のコツをお話しすることは大変に難しいのです。なぜなら肉、魚介類、海草類、野菜、果物、これらのどれもが身体にとって貧血の予防に必要なものだからです。ですから「好き嫌いのないバランスのとれた食事を日頃から心がける」ことが一番大切と言えますね。当たり前のこととはいえ、少々難しく感じてしまいますね。
 
( 文・神経内科 則行 英樹 )
 
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